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ひがしん創業塾 卒業生のご紹介

オフィスセカンドハウス 代表 中野 俊 様
ひがしん創業塾(第2期)卒業生オフィスセカンドハウス
代表 中野 俊 様
  • 住所東京都千代田区神田和泉町1-9-8 木村ビル3F
  • 事業内容
    • テーラースーツ・ジャケット・コートなどの仕立て
    • クリーニングスーツ・仕立品専門の水洗いクリーニング
  • 創業2014年6月
  • ホームページ

もしも、○○なクリーニング店の店員さんがいたら…

ひがしん

はじめに、御社の事業概要をお教えください。

中野さん

[TAILOR & CLEANING SECOND HOUSE]が屋号となりますが、TAILOR(テーラー)というのが「仕立屋」になります。スーツやジャケット、コート、シャツなどをお仕立てしています。テーラー=スーツ屋さんと思っている方も結構多いのですが、スーツだけを取り扱う訳ではありませんので、「仕立屋」とお伝えするようにしています。
次にCLEANING(クリーニング)ですが、スーツや仕立品専門の「水洗いクリーニング店」となります。
「仕立屋」と「クリーニング店」を併設するライフスタイルショップとして営業しております。

ひがしん

「仕立屋」と「クリーニング店」では、全く違う技術が必要とされると思うのですが、中野さま以外に職人の方がいらっしゃるのでしょうか。

中野さん

基本は私ひとりです。仕立ては今年で15年目になりますが、クリーニングの技術についても勉強し、2012年に事業化しました。
上手なクリーニング店はたくさんあると思いますが、正直、互換性が悪いなと思ったのがきっかけでした。例えば、クリーニング店で依頼品を出す際に「こういったプレス・仕上がりにして欲しい」とお願いをしても、仕立屋さんではないので、どうしても伝わりにくく、そうした時に勝手の悪さを感じていました。
これは、私が仕立屋だからという訳でなく、大なり小なり一般的にもあるようなお話しだと思います。
「もしもシリーズ」になりますが、『もしも、クリーニング店の店員さんにスーツなどの仕立てのプロがいたら?』お客様にもっと安心と満足をいただけるのではないかと思い、クリーニングの勉強を始めました。スーツを水洗いするという専門性の高いクリーニングですので、かなり試行錯誤がありましたが、今はお喜びいただける方が増え、私も嬉しいです。そして2014年にテーラーとしても独立し、「仕立屋」と「クリーニング店」を併設したライフスタイルショップを立ち上げました。

モノではなくコトを提供する

ひがしん

お店のコンセプトをお教えください。

中野さん

先ほどの通り、コンセプトはスーツなどのドレスクロージングを中心としたライフスタイルショップです。本分は仕立てであり、私にとってはテーラーもクリーニングも仕立てだと考えています。
テーラーは0(ゼロ)から仕立てますし、クリーニングは購入した頃の気持ちを思い出していただけるよう、ある意味、有り物の仕立て直しをする事だと思います。また私は、モノではなくコトにこだわりたいという気持ちがあります。

例えば、テーラーというと敷居の高さを感じる方が結構いらっしゃいます。「お客さまはお金を持っている方が多いんでしょ?」という質問も多いです。
しかし、自転車が好きな人だったら、年収が300万でも30万の自転車を買います。それとスーツは何が違うのか、何も変わらないと思います。お客さまの中にはお金持ちの方もいるのかも知れないですが、そうではない一般の方や若い方もいると私は感じています。
そこで、テーラーの敷居を少し下げ、より多くの方と接点が欲しいと思いました。ただ、単に価格を下げる事で敷居を下げるのではなく、価格を下げる事以外で敷居を下げる方法を模索しました。いろいろ考えて辿り着いたのが、ご来店の動機をモノではなく、コトに置き換えたらいいということです。
モノで考えるから価格を下げる事につながる訳で、自分が持っている技術で「モノではなくコトを提供できないか」という事です。例えば、クリーニングの仕上がりを通じて、テーラーの技術の片鱗を感じていただく事ができたら、テーラーにも興味を持ちスーツを仕立ててみようと思っていただけるのではないかと思いました。

ひがしん

モノではなくコトを提供するサービスを考えられた訳ですね。

中野さん

テーラーは喋るのも必須の技術となります。なぜなら、生地だけをお見せして、仕上がりの全てを説明しなければならないからです。誰もが生地を見ただけでイメージできる訳ではないので、それを色々な方法でお伝えするのですが、その中でも特に「喋れる」ということが絶対条件になります。
クリーニングに関しても、お客さまに従来のドライクリーニングの良さもご説明した上で、当店の水洗いクリーニングについてご説明をして、最終的に「SECOND HOUSE」で出来る事をお伝えするようにしています。対面式でお話をする中でクリーニングやテーラー、「SECOND HOUSE」を知っていただき、きっかけはクリーニングであってもテーラーに興味を持っていただく事でテーラーの新規のお客さまへと繋ぐよう努めています。
事業の互換性が生まれることで、外での営業活動を少し減らしても新規のお客さまが入ってくる状況を作ることができました。

ひがしん

屋号である「SECOND HOUSE」というお名前は、どのような思いを込めて付けられたのでしょうか。

中野さん

「お抱えのテーラー」というイメージで「いつでも遊びに来てください」という想いを込めました。
スーツを購入しに来るだけではない、気軽にいつでも来られるお客さまにとって“2つ目の家“になれたらいいなという想いで「SECOND HOUSE:セカンドハウス」という名前を付けさせてもらいました。

社内ベンチャーからのスタート

ひがしん

専門的な技術はどのように習得されたのでしょうか。

中野さん

高校卒業後すぐにアパレルに入りまして、紳士服売り場に配属され既製品とパターンオーダーに携わりました。管理職も経験した後、25歳の時にその会社を退職しました。
お店には次から次へとお客さまが来られるので、どうしても1人のお客さまとゆっくりお話しする事がなかなか出来ず、更にはパターンオーダーという決められた範囲でのご対応にも窮屈さを覚えていました。スーツの販売に携わる人間は、なんとなくテーラーに憧れるのですが、私もそうでした。

その頃、仕事終わりによく行っていたバーのお客さまの中に豊島のテーラーがいらっしゃって、それがご縁で雇っていただけることになり、見習いから始めさせてもらいました。
その後、同世代で渋谷のテーラーのお店の三代目をしていた友人から「お店を手伝ってくれないか」と言われ、副代表という立場をいただき、その頃には既にクリーニングの勉強はしていたので、社内ベンチャーとしてクリーニング事業の立ち上げに至りました。
テーラーの技術については、豊島や渋谷のお店でも勉強させていただきましたが、赤坂にある大正6年創業の名門テーラーのトップを務められた先生にご指導いただけるご縁があり、あらためて鞄持ちから始めながら技術を学びました。今は、先生の後釜となるのが目標でもあります。

ひがしん

御社の強みは技術力になるという訳ですね。

中野さん

仕立てに関しては「フルオーダー」と「イージーオーダー」を承っております。私はフルオーダー畑の人間なのですが、フルオーダーをやった事のある人間がイージーオーダーをお作りするのと、フルオーダーをやった事のない人間がイージーオーダーをお作りするのは、訳が違うと感じています。
当店の場合は採寸を50ヶ所程度測るのですが、50ヶ所を採寸して貰った事のある方はなかなかいらっしゃらないと思いますし、私も元々はパターンオーダーから始まった人間ですので、その頃の自分と比較すると洋服に対する理解度がまったく違うと感じています。

例えば、胸囲の実寸が90cmの方がいて、業界の通説として、ゆとりを10cmとって仕上がりの寸法が100cmのジャケットが丁度良いとする場合、それがきつい方ときつくない方が出てきます。これは好みでは無く、実際にきついのです。単純に輪切りにした胸囲が90cmであって、前の幅と背中の幅が5:5になるとは限りません。猫背の方もいれば、水泳をやっていて鳩胸の方もいます。よって、身体の奥行も測り、分量といってゆとりが実際に5:5になるよう胸囲の位置を設定しないといけません。それをやるにはフルオーダーの話しになってきます。
実際はイージーオーダーでも出来ますが、フルオーダーで理屈を勉強していないとなかなか難しいです。そういう意味で、フルオーダーをやれるという点は強みだと思います。

気軽に入れるカフェスタイルのテーラー

ひがしん

今後の展望をお聞かせください。

中野さん

仕入れや外商もあるのでお店は予約制にしておりますが、予約なしでも気軽に入っていただけるようなお店にしたいと思っています。
生地の見本帳を見るのが好きな方がテーラーのお客さまには多いのですが、雑誌を見て「このスーツかっこいいな」と思った時に「この生地が近いかな」と生地の見本帳と雑誌をテーラーの目を気にせず見比べられたら、楽しいだろうなと思います。
そこで、将来的にはバンチと呼ばれる生地見本帳などのツールを無料化しようと思っています。お店の中でカフェと工房が隣接していて、世界中の見本帳をコーヒーを飲みながら無料で自由に見られるようなブックカフェスタイルのイメージです。

もちろん、工房にはテーラーがいて仕立てもできる、水洗いクリーニングもできる、スーツ周りのいろいろなアイテムが集まる、そんなプラットホームみたいなお店を作るというのが最終的な目標です。
そうすれば、ご来店の動機がモノではなくなります。カフェの部分に関しては予約がなくても自由に入れ、実際にテーラーの仕事場からお店の空気感も感じられ、お買い物をしていただくのも安心して下さると思うのです。

ひがしん

テーラーというものに親しみを持って、理解を深める機会が増えていくように思えます。お話しを伺って、私自身も興味が湧きました。「とりあえず見てみたい」とか「生地ってどんなのがあるんだろう」という興味から入っていけるのは、とてもいいですね。

中野さん

事業の多角化に思われるかもしれないですが、守るべき本業にしっかり添わせていけば多角化にはならないと思っています。
異業種の仲間でカフェをやっている人もいるので、場所だけ貸すというのも成立すると思います。やり方はいくらでもあると思います。

創業塾を受講して

ひがしん

当金庫の「ひがしん創業塾」を受講されみていかがでしたか。

中野さん

同じ第2期に参加されていた方に縫製工場をやっている方がいらっしゃいました。その方と親しくなり、友達が一人増えたのも良かったところです。
墨田区や台東区など、地域性からいってモノづくりをやられている会社様とのお取引が御庫にはあるのかなという風には思っていましたので、そこのご縁が私にも回ればいいなという思いもあり参加させていただきました。

ひがしん

今でも連絡を取り合ったり、お付き合いがおありなのでしょうか。

中野さん

今でもあります。最近、結婚したというご報告もいただきました。一緒にいて元気をもらえるタイプで、業界的にも近いので、お互いの話を聞いていろいろ感化されています。

創業を目指されている方へ

ひがしん

最後になりますが、これから創業を考えられている方々に向けて、メッセージをお願いします。

中野さん

当たり前の話かもしれないですが、アイデアを出す時に理想論をちゃんと語れる人は素敵だなと思っています。
もちろん理想論だけではダメですが、現実論でアイデアを出し合ったところで、恐らくそれは窮屈なアイデアなんだと思います。理想論を出してから、そこに現実を突きつける作業をやっていくというのが大事だと思っています。
先程お話しした私の今後の展望も、現時点の私の立ち位置からしたら、大風呂敷広げている話になると思います。ただ、「夢は語るべきだ」という話と似ているのかもしれませんが、理想に現実を突き付けていけば、多少はやり方が出てくるのかもしれないなと思っています。

ひがしん

理想や信念は、どんな事があろうともぶれずに。ということですね。

中野さん

そうです。理想や信念をぶれずに持ち、夢を叶えてもらいたいですね。

ひがしん

本日は、大変貴重なお話しをありがとうございました。

インタビューを終えて

第2期の「ひがしん創業塾」にご参加頂いた中野さま、10月10日にお店のオープン1周年を迎えられました。
1周年を機にリニューアルされた木の温もりを感じるオシャレな店内でインタビューをさせて頂きました。

創業に関するお話だけでなく、仕立て・クリーニングについてもお話頂き、その奥深さを知ることが出来ました。
長年の経験に基づく確かな技術を持たれているからこその説得力あるお話でした。まさに“職人”でらっしゃると感じました。
また、“経営者”として経営理念・経営ビジョンを明確にお持ちで、その実現のためのプランもしっかりとお持ちになられていました。
最後に仰っていた“理想や信念はぶれずに持ち続ける”をまさに体現されている経営者だと感じました。
当金庫も中野さまの夢の実現を引続き応援をしていきたいと思います。

最後に、本WEBサイトをご覧の皆様、ぜひ一度中野さまのお店に足を運んでテーラーのこだわりなどを感じてみて下さい。